葉酸が不足すると

「葉酸は妊娠に必要なビタミン」というイメージがあるのではないでしょうか。しかし妊娠に関係なく、わたしたちにとって必要な栄養素として不足してはならないものなのです。ここでは葉酸のさまざまな効果や不足したときの症状などを考えてみましょう。
葉酸と妊娠

 

葉酸について

葉酸は水溶性のビタミンB群の一種として、ビタミンB9ともビタミンMとも言われています。造血にかかわるビタミンとしても知られていますが、正常な胎児の妊娠や出産にも大きくかかわっていることが知られるようになりました。

 

そして最近では厚生労働省が葉酸を摂るようにと推奨し、母子手帳にも書かれるようになりました。葉酸の5割は肝臓に蓄積されますが、他の5割は細胞分裂がとても活発な部分に存在していると言われています。光に分解されやすくアルカリ性では熱に強く、酸性は熱に弱いという性質とのことです。

 

葉酸はイギリスの科学者ルーシー・ウィルスによって発見されたと言われています。妊娠中の巨赤芽球性貧血の研究の中、1931年に酵母エキス中に貧血を改善する物質があることを発見しました。また同じ頃、家畜栄養の研究者によって乳酸菌の生育因子ビタミンBcをほうれん草から発見し、大赤血球性貧血を発症している猿に投与したところ、みごとに回復したことからビタミンモンキーつまりビタミンMという呼名になったとも言われています。

 

葉酸は水溶性なので茹でたりすることによって損失し、アスパラガスなどは90%の損失、ブロッコリーや菜の花でも40%程度の損失、ほうれん草やモロヘイヤなども60%程度の損失と言われています。新鮮なまま加熱をしないで摂取するのが一番です。

 

葉酸はビタミンCによって効果を発揮することができます。そしてビタミンB12と一緒に造血の働きをするため、ビタミンCとビタミンB12とは、できるだけ同時摂取が良いとのこと。また成長を促進するため妊娠初期の神経管閉塞障害の予防効果が高く、胎児や乳幼児成長促進効果もあります。

 

妊娠に対する葉酸の効果

妊娠すると超初期の段階で胎児の神経管がつくられますが、これは胎児の脳や脊髄になる部分として成長していきます。この部分に問題があると出産した胎児に奇形や下半身麻痺、無脳症などが起こります。もちろん出産までなかなかこぎ着けずに、途中で流産することも多分に考えられるとのこと。その他口蓋裂(こうがいれつ)や先天性の心疾患なども相当な割合でリスクを軽減することができるのです。

 

葉酸はDNAやRNAの総称である核酸に大きくかかわり、正しい遺伝情報のコピーを行い正常な細胞分裂させるためにも欠かせないビタミンです。そのため卵子や精子の段階で情報が間違ったものができてしまっていると、例え受精してもなかなか着床できずに不妊症にもなってしまいます。

 

また着床できても子宮内の粘膜が厚く丈夫につくられないため流産ということにも。この時点で何らかの障害を持った胎児ができてしまうということにもなります。そのため妊娠を希望するなら、その3カ月ほど前から男女とも葉酸を飲むことが進められているのです。

 

そして胎児の成長は目覚ましいものがあるため、葉酸によってどんどん造血し胎児に新鮮な栄養素を送ることが大切になります。そして出産して赤ちゃんが生まれると、今度は授乳時にも赤ちゃんの成長のためにも、不足しないように続けて摂取したいものです。

 

その他の効果

葉酸は成長を促進する働きがありますが、これは細胞分裂を促進することとイコールです。乳幼児はもちろんのこと、大人になっても細胞分裂は休まず行われています。そして正しい遺伝情報のコピーによる細胞分裂は妊娠にかかわる時期だけでなく、一般の人にとっても重要なことなのです。傷ついた細胞を修復せずに分裂させてしまえば癌などの疾患の原因にもなります。

 

また葉酸は新しい赤血球をつくるためにビタミンB12と一緒に補酵素として活動しますが、特に赤芽球の合成のサポートをしているとのこと。赤血球が正常につくられないと貧血や悪性貧血のリスクもあり、そのためにも葉酸は重要なポジションにあるビタミンなのです。

 

また体内でビタミンB6,ビタミンB12と一緒にホモシステインというアミノ酸をメチオニンやシステインという物質に変化させますが、葉酸が不足するとこれらが行われずに血液凝固が起こります。つまり血液がドロドロになり動脈硬化の原因になるとのこと。またこのホモシステインは加齢によっても増えるため、中高年の動脈硬化が増える要因にもなり、葉酸も十分摂る必要があると言えるのではないでしょうか。

 

また葉酸が不足すると血流が停滞するため、認知症、聴力障害などを起こすようになります。つまり私たちが老化現象と判断していることも葉酸などの栄養不足ということも、おおいにかかわっているということになるのではないでしょうか。

 

葉酸が不足すると

葉酸が不足すると新鮮な血液がつくられないため、貧血はもちろんのこと代謝異常により皮膚疾患、髪の毛や爪などの悪化、腸管粘膜、口内、舌などの炎症も起こりやすくなります。そして異常細胞分裂により癌などの重大疾患のリスクも高まるとのこと。また動脈硬化によって、脳梗塞や心筋梗塞などの重大疾患にもつながります。

 

妊娠初期の葉酸不足は胎児の神経管閉塞障害のリスクが高まり、それによって二分脊髄や無脳症の先天異常や、他の障害のリスクも高まると言われています。妊娠中の人や貧血気味の人、動脈硬化の不安のある人、成長期の子どもなどは特に不足しないように摂取することが必要です。

 

葉酸の過剰摂取について

葉酸の過剰摂取は殆どありません。ただし大量摂取の場合は亜鉛などのミネラル吸収が悪くなるとも言われています。葉酸の場合はサプリから摂取することも多く、サプリの場合は一日分200μg〜400μgのものが殆どです。妊婦は440μg、授乳期は340μg、普通の状態でも200μgが推奨されています。

 

サプリの用量を守れば他に食事から摂取しても、上限は1000μgと言われているため過剰摂取の心配はありません。ただし非常に葉酸の多いレバーなどを、例えば串焼きで毎日何本も食べれば過剰ということになります。

 

1日の摂取量と食品

葉酸の1日の摂取量は成人男性も成人女性もともに240μgですが、妊娠のための摂取量となると女性は400μgと言われています。葉酸を含む食品のご紹介をしましょう。
・肉類 レバー
・野菜類 菜の花、ほうれん草、モロヘイヤ、枝豆、アスパラガス
・果物類 イチゴ、ライチ、アボカド、マンゴー
・納豆、ナッツ、卵黄、牛乳

 

鶏レバーは1300μg、牛レバーでも1000μg、豚レバーが810μgと、レバー類は100g中にダントツの多さで含まれていますが、毎日レバーを食べることも難しいでしょう。ただし焼き鳥のレバーなら1串で十分ということになります。また他にもウナギも100gに380μgも入っています。しかしこれも毎日食べるのはちょっと難しそうです。

 

さまざまな葉物野菜にも含まれていますが野菜を100g食べること自体結構難しく、野菜だけでは摂りきれないのではないでしょうか。また茹でたり煮たりすると半減するため、なかなか摂取は難しくサプリを上手に利用しましょう。

 

また過剰摂取は神経障害や発熱、蕁麻疹、皮膚炎などが起こることもあり、続けて過剰摂取することで亜鉛の吸収阻害を起こしてしまうことも。サプリからの摂取の場合は1日の上限を守るようにしましょう。

サプリ売れ筋比較

葉酸の食事摂取基準(μg/日)1

性 別 男 性 女 性
年齢等 推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容
上限量 2
推定平均
必要量
推奨量 目安量 耐容
上限量 2
0〜5(月) 40 40
6〜11(月) 60 60
1〜2(歳) 70 90 200 70 90 200
3〜5(歳) 80 100 300 80 100 300
6〜7(歳) 100 130 400 100 130 400
8〜9(歳) 120 150 500 120 150 500
10〜11(歳) 150 180 700 150 180 700
12〜14(歳) 190 230 900 190 230 900
15〜17(歳) 210 250 900 210 250 900
18〜29(歳) 200 240 900 200 240 900
30〜49(歳) 200 240 1,000 200 240 1,000
50〜69(歳) 200 240 1,000 200 240 1,000
70 以上(歳) 200 240 900 200 240 900
妊婦(付加量) +200 +240
授乳婦(付加量) +80 +100

1 妊娠を計画している女性、または、妊娠の可能性がある女性は、神経管閉鎖障害のリスクの低減のために、付加的に 400μg/日のプテロイルモノグルタミン酸の摂取が望まれる。
2 サプリメントや強化食品に含まれるプテロイルモノグルタミン酸の量。

出典元:厚生労働省 「日本人の食事摂取基準」(2015年版)より